Page 1071 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼【グ賞SL】"Me and You" アンソニー・ブラウン ワラビ 11/4/15(金) 22:39 ┗Re:【グ賞SL】"Me and You" アンソニー・ブラウン muzu(WYN-1056) 11/4/20(水) 22:10 ─────────────────────────────────────── ■題名 : 【グ賞SL】"Me and You" アンソニー・ブラウン ■名前 : ワラビ ■日付 : 11/4/15(金) 22:39 -------------------------------------------------------------------------
みなさん、こんにちは。 グ賞のショートリストに残ったなかから、アンソニー・ブラウンの "Me and You" を読みました。 "Me and You" (2009) by Anthony Browne 「3びきのくま」の、アンソニー・ブラウン版。舞台が森の中ではなく、現代の町中に移っているのは、ブラウンらしいところだなあと読み始めた。 表紙にあるように、お父さんクマとお母さんクマと子グマは、パステルカラーでかわいらしく描かれている。人間と同じ服装で、人間が住むような家(しかも2階に屋根裏のついた、庭付きの、なかなか立派なおうち)に住んでいる。それと対照的なのが、人間の女の子。モノトーンで描かれ、髪の毛だけがぽつりと金髪。表情もなんだか暗く読み取れない。アパートから、お母さんとふたりで出てきたと思ったら、風船に気を取られているうちにお母さんとはぐれてしまった。 そんな女の子の様子は、左ページに黒白のコマわりで小さく描かれ、クマの家族の様子は、右のページにパステルカラーでページを大きく使って描かれていく。おかゆが熱かったので公園(!)に散歩に出かける熊の一家と入れ替わりに、女の子はクマの家にたどりついて……。 クマの世界と女の子の世界が、別世界のようで軸がよじれて出会ってしまったような、交わらないものが交わったような、不思議な感覚。クマの世界と、女の子の世界、どちらが不思議かというと、クマの一家のほうが昔話チックで、実は、ずれているんだけれど、最初は、至極あたりまえにしているので、そうは思えない。だから、クマに寄り添ってページをめくっていく。でも、家に入ってからの女の子は、かぶっていたぼうしも取って、少しずつ表情が読み手に伝わるようになり、色味にも黄色が加わり、変化しているのがわかる。そして、子グマのベッドで寝ている絵の素敵なこと! このあたりから、ブラウンマジックで、読み手はくるりとひねられてしまう。 そして、なんといっても、女の子が見つかってクマの家を飛び出したところで話は終わらず、その後のお話がついている。ここも秀逸! タイトルの "Me and You" は、子グマの視点から描かれているから、(子グマの)ぼくと(金髪の)君、ってことになると思うが、邦題が悩ましそう。また、町中には隠し絵も健在だ。 ワラビ(wyn-1001) <Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; GTB6.6; .NET C...@210-248-131-017.jp.fiberbit.net> |
ワラビさん、みなさん こんにちは。 これまた興味深い作品のご紹介をありがとうございます。オリジナルの「3びきのくま」では、女の子もくまも当然のように同じ世界に立っていますが、こちらでは別々の世界が交差するように描かれているのですね。なんとも奥が深そうです。 > そして、なんといっても、女の子が見つかってクマの家を飛び出したところで話は終わらず、その後のお話がついている。ここも秀逸! 実はわたし、オリジナル「3びきのくま」の終わり方になんだか釈然としないものを感じていたので、この作品のお話の続きがとても気になります! オリジナルで「いいのか〜、これで終わって!」と、つい思ってしまうのはわたしだけでしょうか(笑)。 muzu <Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; .NET CLR 2.0.50727)@ch202124013103.ch-you.ne.jp> |