Page 42 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼【新刊読み物】おりの中の秘密 蒼子(WYN-1031) 05/12/14(水) 14:24 ─────────────────────────────────────── ■題名 : 【新刊読み物】おりの中の秘密 ■名前 : 蒼子(WYN-1031) ■日付 : 05/12/14(水) 14:24 -------------------------------------------------------------------------
『おりの中の秘密』 ジーン・ウィリス 千葉茂樹訳 あすなろ書房(2005.11) "Dumb Creatures" by Jeanne Willis 2004 【あらすじ】 主人公のトムは、11歳で普通の小学校い通っている。耳もきこえるし、頭も動いている。しかし、なぜか話せない。クラスの子どもたちは、声をだして話せないから、トムにも感情があることをわかってくれない。表情やしぐさからだって、トムにもいろいろな思いがあるとわかるのに。トムは手話を使って、両親と言語療法士のルースとは気持ちを伝えあえる。だけど、手話ではないしょ話ができない。しかも、友だちに手話のできる子がいないため、トムの思いを知る人はいなかった。 だから、トムは動物園へ行く。ことばを話さないものたちといっしょにいたいから。動物たちを観察しているうちに、トムには動物たちもことばを伝えていることがわかってくる。 ある日、赤ちゃんができてお腹の大きくなってきたお母さんといっしょに、トムは動物園へいった。そしてゴリラのおりのまえで、雌のゴリラがトムに手話で話しかけてきた。「ここにも赤ちゃんがいる」って。 【感想】 学校でも思いを伝えることができずに、孤立しているトムは、先日読んだ『僕らの事情。』のサイモンと重なります。11歳といえば、そろそろ両親にはないしょの話もしたいころ。だけど、ことばが話せないし、手話では込み入った話もできず、学校では赤ちゃん扱いされてしまうのです。障害をもつ人たちの、それぞれの思いは、障害をもっていない人とまったくかわらないということを改めて思いました。 トムは動物園で雌のゴリラから手話で話しかけられて、飼育係でも気がつかなかったゴリラの妊娠を知ります。やがてお母さんにも、ゴリラにも赤ちゃんが生まれます。ゴリラの赤ちゃんと妹の成長をトムは見守っていましたが、それが大変な事件へと発展してしまいます。 どんな人にも、そして動物たちにも「深い思い」があることを、じっくりと考えるきっかけになってくれる本だと思います。 |