Page 174 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼【新刊読み物】大吸血時代 ぎねびあ(WYN-1045) 06/5/29(月) 13:41 ┗Re:【新刊読み物】大吸血時代 さかな 06/5/30(火) 9:47 ┗Re^2:【新刊読み物】大吸血時代 ぎねびあ(WYN-1045) 06/5/30(火) 16:01 ─────────────────────────────────────── ■題名 : 【新刊読み物】大吸血時代 ■名前 : ぎねびあ(WYN-1045) ■日付 : 06/5/29(月) 13:41 -------------------------------------------------------------------------
ファンタジーマラソンに作品をエントリーするつもりで読んでいましたが、途中で「一般書」であることに気づきました。でもとてもおもしろかったので、どうしてもご紹介したくて(600ページも読んだのにマラソンにアップできない悔しさもあえて否定しませんが〜)ここにアップします。 ****************** 『大吸血時代』(Vamped) デイヴィッド・ソズノウスキ作/金原瑞人・大谷真弓訳/求龍堂/2006.03 <あらすじ> 人間よりもバンパイアのほうが数が多くなった時代。永遠の命に飽きてしまった中年ヴァンパイアのマーティンは、自殺したい気分の時に、「人間牧場」から逃げてきたらしい6才くらいの女の子、イスズをみつける。母親がバンパイアに襲われ、逃げてきたらしい。久々の人間の血をいただくのはあとのお楽しみにしようと、とりあえずは密かに自宅に連れて帰る。他のバンパイアに勝手に血を吸われないようにしなければ。おたのしみはあとだ。そう思っているうちにいつしかこの子がかわいくて仕方がなくなる。俺が守ってやらなければ。この子の味方は俺だけなんだから。バンパイアの男の楽しくも切ない子育て物語が始まる……。 <感想> 血なまぐさいバンパイアの行動や、いかにしてバンパイア全盛の世の中になったが語られ、ぞっとする話もあちこちにあるにもかかわらず、ユーモラスな語り口に終始吹き出しながら読んでいた。 マーティンはバンパイアだから夜働いて昼間は眠る。栄養は「人工血液」だけで十分とれる。でもイスズはそうはいかない。ごはんもたべればトイレも使う、病気にもなるし成長もする。アパートの他の住人たちはすべてバンパイア、イスズの存在を知られたら終わりだ。イスズを守るためのマーティンの涙ぐましい努力があまりにもユーモアに富んだ口調で語られ、ほんとうはマーティンの切ない気持ちを思って涙が出そうなのに、つい笑ってしまう場面がたびたび。 イスズを世話するうちに、いつしか父親のような気持ちになっていくマーティン。バンパイアと違ってどんどん成長していくイスズに、この先この子をバンパイアにすべきか否かとマーティンは悩みはじめる。女の子特有の身体症状も現れ、自分だけでは対処できない難問につぎつぎとぶつかって困り果て、マーティンはついに協力者を探しはじめる。それがマーティンとイスズにどんな結果をもたらすのかは、読んでのお楽しみだ。 まわりのバンパイアたちもなかなか味がある。子ども時代にバンパイアにされると、からだはそのままで心だけが成長し、死ぬまで(というか、バンパイアは基本的に死なない)そのままでいることに耐えられず、終始悪態をつきまくる「スクリーマー」となる。マーティンがイスズの存在を隠しながら相談を持ちかける神父ももちろんバンパイアだが、彼にも人に言えない秘密がある。 「永遠の命」を持つことがどういうことなのか、一生姿がかわらないのがどういうことなのか、「不老不死」を求める人々に教えてあげたくなるような、哀しく切ないムードが全編を漂っている。なのに可笑しい。おもしろくてたまらない。そしてハッピーになれるという不思議な物語だ。 ぎねびあ(WYN-1045) |
ぎねびあさん これ表紙に惹かれて読もうと積んであります。やっぱりおもしろいのですね。読まなくちゃ。 バンパイアものって好きなんです(^^) さかな wyn-0021 |
さかなさん、 コメントありがとうございます。 実は「新刊」のレビューを上げるのは初めてだったので、ちょっと緊張してました。 もうねえ、「おもしろ切ない」とでもいいましょうか、たまらないって感じです。 読み出したらなかなかやめられなくなるので、目が疲れていない時に読みはじめられることをお勧めします。 またご感想をお聞かせ下さいね。 ぎねびあ |