Page 1352 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼【新刊読み物】『スピリットベアにふれた島』 おちゃわん 10/11/14(日) 15:43 ┗Re:【新刊読み物】『スピリットベアにふれた島』 SUGO 13/9/10(火) 15:10 ┗Re:【新刊読み物】『スピリットベアにふれた島』 おちゃわん 13/9/14(土) 16:25 ─────────────────────────────────────── ■題名 : 【新刊読み物】『スピリットベアにふれた島』 ■名前 : おちゃわん ■日付 : 10/11/14(日) 15:43 -------------------------------------------------------------------------
やまねこ賞を意識するこの時期、と〜ても困るのが、9月新刊の本!その中の一冊。 寝る前にちょっとだけと読み始めたのが運のつき。体力の限界に挑戦してしまった。 『スピリットベアにふれた島』 ベン・マイケルセン 作 原田勝 訳 鈴木出版 2010.9 15歳のコールは札つきのワルだった。なんども警察の世話になり、父親は何度も保釈金を払っている。しかしそれすらコールは気にいらない。強盗に入った店のことをちくった生徒をぼこぼこにし、重傷を負わせてしまったことからまた逮捕される。たびかさなる前科により大人と同じ刑務所へ入れられるはずだったが「サークル・ジャスティス」を受けることに。サークル・ジャスティスとは北米先住民の間で何世紀も伝わってきた慣習で、加害者と被害者の双方を救済する制度。そして彼はアラスカの孤島に送られる。 あっと言う間に読んでしまった。「ピーティ」と同じ作者だ。あの作品が「静と穏やかさ」にあるとしたら、こちらは対局の「動と怒」! コールの怒りのすざまじさ、十代の持つエネルギーの曲々しさに辟易するほどだ。孤島に一人残された彼の運命の苛烈なこと! 目を剥くなんて表現ではとても追いつかない。目を覆う、いや、とても見ていられない。自然の中では、やったことは全て自分に返ってくるということを、身を持って知ることになる。後半、彼が自分自身と対峙していく場面は示唆に飛んでいる。考えさせられた。 もしここにあるような「サークル・ジャスティス」が制度としてきちんと機能するようになれば……。それは現代社会において希望であるが、儚い夢かもしれない。 この物語がかくもリアルに書かれたことそのものが素晴らしい。魂救済の書だ。 おちゃわん <Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 6.0; Trident/4.0; YTB730; SLCC1;...@p2118-ipbf304kyoto.kyoto.ocn.ne.jp> |
おちゃわんさん ものすごいカメレスですみません。 つい最近読みました! やまねこ賞対象期間に読んでいたら、ぜったい投票したのにと今さら悔やまれるほどすばらしい作品ですね。 コールがスピリットベアに出会う場面、暴力的になってしまった背景、「怒り」を昇華させていく過程、謝罪と赦しなど、読んでいて苦しい場面も多かったですが、骨太の作品に出会えたという大きな充足感を得られました。 特に、ガーヴィーとエドウィンのふたりがいいですね。 『ピーティ』と同じ作者なのに訳者がちがうのは?と思いましたが、編集者さんは「この作品は原田さんだ」と思い依頼されたそうです。わたしも原田さんの訳がぴったりだと思いました。 SUGO <ZonchBrowserPro@ntymgt035076.ymgt.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp> |
SUGOさん ありがとうございます! この作品は9月出版だったので、やまねこ賞からみると気の毒だったのです。が、読んでいただけて良かったです。 > コールがスピリットベアに出会う場面、暴力的になってしまった背景、「怒り」を昇華させていく過程、謝罪と赦しなど、読んでいて苦しい場面も多かったですが、骨太の作品に出会えたという大きな充足感を得られました。 ものすごい状況に、恐ろしいほどの描写ですよね。 このものすごさに立ち向かえる読者がどれほどいるか心配になるほど。 > 『ピーティ』と同じ作者なのに訳者がちがうのは?と思いましたが、編集者さんは「この作品は原田さんだ」と思い依頼されたそうです。わたしも原田さんの訳がぴったりだと思いました。 ほんとに! おちゃわん <Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.0; Trident/5.0)@p3183-ipngn100404kyoto.kyoto.ocn.ne.jp> |